小樽水天宮と外人坂の由来【北海道小樽市】

小樽水天宮社殿 [小樽] 南小樽・中央地区

小樽市相生地区にある小樽水天宮と水天宮境内から海側へ降りる外人坂について紹介しています。

高台の上にある水天宮の境内からは小樽港を一望することができ、小樽市民に親しまれている場所になります。

このページは、Youtubeで公開している小樽水天宮を散策した動画の内容のまとめや補足情報、水天宮へのアクセスを書いています。

Youtubeで公開している小樽水天宮を散策している動画

小樽水天宮

小樽水天宮社殿側面
小樽水天宮の社殿側面

小樽の水天宮は、江戸時代の安政6年(1859年)に祀られました。現在の社殿は大正8年(1919年)に建てられたものです。

本殿、中殿、拝殿が連結する権現造りで、屋根は銅板葺きだそうです。

社殿の左側には、末社の稲荷社(文政11年(1828年)創祀)があります。

小樽水天宮内の稲荷社
撮影時、稲荷社は足場で囲われておりました。

毎年6月に開催されている例大祭は小樽三大祭りのひとつになります。

小樽水天宮境内から見える小樽港
夏は木々の葉が生い茂り小樽港の景色が見えづらかったりします。
冬の小樽水天宮
冬の小樽水天宮

小樽水天宮には新旧の参道がある

小樽水天宮表参道
現在の表参道、道の先には小樽公園があります。

Goolgeマップを見ると水天宮表参道と水天宮旧表参道の2つの参道があります。

水天宮表参道は鳥居のある公園通りからつながる道ですが、実は水天宮の社殿正面とは一直線につながっていません。

小樽水天宮境内

一方、旧表参道は水天宮社殿正面から真っすぐ進んでゆく道になりますが、JR南小樽駅方面へと下る急な坂道です。

参道が変わった理由は「町の中心部が変わった」からだそうで、この話は2015年にNHKで放送されたブラタモリの小樽の回で説明されていました。

現在のJR南小樽駅が以前は小樽駅だったことをふまえれば合点がいきますが、たぶん水天宮の参道に新旧あったことなんて小樽の人でも知らないのではないでしょうか。

外人坂の由来

小樽外人坂
水天宮境内から見た外人坂

水天宮の境内から海側へと降りていく階段とその下につづく坂道を「外人坂」と言います。

かつて、この坂道沿いの家にドイツ人貿易商カール・コッフさんとそのご家族が住んでいたことが外人坂の由来となっております。

カール・コッフさんは、大正2年(1913年)から昭和25年(1950年)までの37年間小樽で生活しており、外人坂沿いに住まわれていたのは大正6年(1917年)から昭和24年(1949年)までのようです。

その間に結婚をし一男一女をもうけており、お嬢さんのエルガ(ヘルガ)さんは、親しくしていた近所の奥さんから「菊(Kiku)」という日本名をつけてもらったそうです。

エルガさんの名は「Helga Kiku Manshard」です。※Manshardは結婚後の姓
ドイツ語読みで「エルガ」なのか「ヘルガ」なのかわかりませんが、小樽市の公式サイトではエルガさんと紹介されています。

昭和14年(1939年)に長男のグンターさんとエルガさんは、教育のためドイツに帰国しました。

しかし、第二次世界大戦が起きコッフ一家は日本とドイツで離れ離れになりました。戦時中にコッフさんが送った手紙は検閲されグンターさん、エルガさんたちへは届けられなかったこともあったそうです。

一家が再会したのは、戦争が終わった後の昭和25年(1950年)。

コッフ夫妻がドイツへ帰国することになったとき、その時の小樽市長はじめ多くの市民によるお別れ会が開かれたそうです。

冬の小樽外人坂
冬は雪で覆われ通行できなくなっております。

コッフ一家と小樽のつながりはここで一度終わりを迎えますが、平成5年(1993年)にエルガさんは小樽を訪れ、旧友との再会を果たしました。当時の市長とも面会し、その様子は新聞にも扱われたそうです。

エルガさんは昭和57年(1982年)にフライブルク独日文化協会を設立し、現地の日本人との交流に尽力されていたそうです。

2014年4月11日、エルガさんはご逝去されました、享年86歳。

エルガさんのご主人のWalther Manshardさんはドイツ語版Wikipediaで紹介されている著名な地質学者だったようです。

Wikipediaに関わらず、Waltherさんの経歴などを紹介しているページでは、奥様であるエルガさんの名前を「Kiku」と書いています。

エルガさん、ドイツでも「菊」と名乗っていたんだろうなぁと想像できますし、きっと小樽での思い出をとても大切にしてくれていたと思います。

エルガさんが設立したフライブルク独日文化協会

日本語で「フライブルク独日文化協会」とGoogleで検索しても主に出てくるものは、エルガさんが設立したものとは違う「独日協会フライブルク松山会」です。

公益財団法人の日独協会のサイトの「全国日独協会一覧」にエルガさんが設立した協会の名がありました。

協会名(ドイツ語):Deutsch-Japanischer Kulturverein Freiburg e.V.
Präsident:Manshard, Kiku

エルガさんの設立した協会情報が載っているページは古いページで、現在の日独協会サイトからはリンクされてなさそうなので、該当ページへのリンクは控えます。

「Deutsch-Japanischer Kulturverein Freiburg」とGoogleで検索すると「閉業」とでてきます。

日独協会サイトのエルガさんの設立した協会情報が載っているページには「Deutsch-Japanischer Kulturverein Freiburg e.V.」のサイトへのリンクがありますが、全然関係のない日本のアフィリエイトサイトが開きます。(おそらく301リダイレクト)

このことからも、エルガさんの設立した「フライブルク独日文化協会」は現在活動をしていない可能性が高く、おそらくエルガさんがお亡くなりになったことと関係あると思っています。

小樽水天宮と外人坂へのアクセス(行き方)

小樽水天宮はJR小樽駅とJR南小樽駅のほぼ真ん中にあります。(若干、JR南小樽駅からの方が近い)
また、観光名所の堺町通商店街からも行くことは可能です。

どちらにせよ、高台にある水天宮へは坂道を上らないといけないです。

参考サイト・資料

ブラタモリ小樽〜タモリさんの足跡を辿る【後編】《水天宮〜花園町〜銀行の集まる交差点〜旧三井銀行小樽支店〜北運河》 (小梅太郎の「小樽日記」)
おたる坂まち散歩 コッフさんと外人坂 前編 (小樽市公式サイト)
おたる坂まち散歩 コッフさんと外人坂 後編 (小樽市公式サイト)
おたる案内人 (書籍)

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